町内会物語:冬の夜空に消えた花火

町内会物語:冬の夜空に消えた花火
山本恵美は、年末のふれあい祭りの準備に追われていた。町内会館は、活気に満ち溢れ、住民たちの温かい笑い声が響き渡る。しかし、恵美の心はどこか晴れない。


去年の祭りでは、地域住民たちが力を合わせ、手作りのおでんや焼きそばを振る舞い、子供たちのためにゲームコーナーも設けられた。そして、フィナーレには、夜空に美しい花火が打ち上がり、参加者全員が感動に包まれた。


しかし、今年は様子が違った。コロナ禍の影響で、大規模なイベントは控えなければならなかった。そのため、今年は、規模を縮小し、屋台も出店せず、休憩時間もないまま、一日中イベントが続いた。参加者たちも、どこか元気がなく、静かに過ごしていた。


恵美は、そんな状況を見て、やるせない気持ちになった。町内会は、単にイベントを開催するだけではなく、地域の人々が集まり、交流する場であるべきだ。しかし、今年の祭りは、その役割を果たせているのだろうか?


祭りが終わり、疲れた体で帰宅した恵美は、窓の外の夜空を見上げた。冬の夜空には、いつものように星が輝いていた。しかし、恵美には、その輝きがどこか寂しく感じられた。

山本恵美は、コロナ禍の影響で、かつての活気ある町内会祭りが失われたことに深い悲しみを感じている。